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「ミニマリズム:本当に必要なもの 」を見た感想

ネットフリックスで、ドキュメンタリー映画の「ミニマリズム:本当に必要なもの」という作品を見た。

 

僕もミニマリズムには興味があって、理由は、合理的で効率的な選択だと思うからだ。余計なものを持ち歩かず、束縛の少ない身軽な生活というものに憧れるのだ。

 

作品は、主にミニマリズムに肯定的な人達が、それぞれの思想を語るシーンで構成されている。

 

この作品を見て、僕が書きたいと思ったことは2つある。

 

1.「身動きが取れない」感覚

 

一番心に残ったのは、ウォール街のブローカーをしていた男性の話。彼は、とにかくお金のために出世の階段を駆け上り、やっとジュニアパートナーへの昇格を聞いた途端、泣けてきてしまった。

 

理由は、「身動きが取れなくなったことに気がついたから」。「冒険をしたり、旅をしたり。思い描いていた自分の人生が消え去ったことに気がついたからから」だという。

 

僕はこの感覚に強く共感した。社会人になってからの僕は、この感覚のことを「自分の生活や人生が型にはまっていく感覚」として、周囲の人に話している。同じ質のものだと思った。もちろん、彼の場合は超エリートで、昇格によって超ハンパなく忙しくなってしまうということはあるので、「身動きが取れないこと」の強度としては、違うかもしれないけど。やはり同じ質のものだと思う。

 

ホッとした。自分以外にもこういうことを考えてくれている人がいたと思った。

 

長時間労働によって物的豊かさを求めていくライフスタイルに窮屈さを感じる人もいる。頭を空っぽにして働いて、心を殺して働いて、そうして貰った賃金で物を買うだけでは、確実に飽きてしまうと思った。

 

2.「自分に何が必要か」を知ることの難しさ

 

こっちはさらにミニマリズムに寄った話。

 

「良い」と言われているものを、なんでもかんでも手に入れようとするのではなく、自分にとって本当に必要なものなのかしっかり考え、判断すること。これが大事だと思った。

 

ミニマリズムといっても、何もかもを捨てる必要はない。自分の夢やライフスタイルに合わせて、そこに必要なものだけを、身の回りに揃えればいい。それがミニマリズムなのかなと思った。あくまで、自分にとっての、必要最低限なのだ。

 

作中で、女性が「自分のライフスタイルに合わせて必要なものを選んだら、とっても良くなった」という旨のことを言っていた。

 

このシーンで僕は、「それが一番難しいんだよなぁ」と思った。物を捨てたり、買うのを我慢したりするのが難しいわけじゃない。「自分のライフスタイルって何なのか」、それを知ることが何より難しいんだ。それが分かってないから、買うものや捨てるものを選べなくなってるんだ。

 

「自分のライフスタイルって何なのか」。この問いを考えていくと、「自分とは何なのか」みたいなもうすごく根源的なところまで行ってしまう。こんなことは、なかなか分からない。

 

だからこそ、ミニマリズムの実践にあたっては、自分と向き合い続ける必要があるんだろうなと思った。見よう見まねでやったような、乱暴な断捨離だけではダメなのだ。何も考えずに全部捨てたり、人が「良い」というものを何でも欲しがってしまうのは、「自分に必要なもの」が分かってないからだと思う。

 

身体の隅々まで感覚を研ぎ澄ませるように、自分の生活の隅々まで感覚を張り巡らせて、その動線や伸び代などを把握しておくことが、「自分に本当に必要なもの」を知るための第一歩なんだと思う。

 

そしてこのことが、過不足の起きない、理想的なミニマリズムにきっとつながる。はず。

 

 

ちなみに、ミニマリズムから程遠い、物だらけの実家について、3年前に書いた過去の記事はこちらです。 http://hidacaw.hatenablog.com/entry/2015/03/11/005438